音楽の聴き方

皆さま、お変わりございませんか。

先週は、空梅雨のような天候でしたが、週末から雨模様が続いています。

 

レ・クロッシュのコンサートは、6月28日(金)で、春公演が終了致します。

4月から始まった春の公演があっという間に終わってしまいます。

 

いつもたくさんのファンの方たちに支えて頂き、応援して下さいますお蔭で、とてもよい雰囲気の中で今年もコンサートを終了することが出来そうです。

心から感謝申し上げます。

 

アンケート用紙を拝読いたしますと、色々な事が見えてきます。

人間の耳というのは、何の曲がよかったか、と感じるのは、その人が持っている感性で判断するものだという事がよく分かります。

ですから、”音楽”と一口に申しましても、あらゆる分野の音楽が存在するのですね。

 

ピアノのソロ曲は、全く時代も違いますし、曲の雰囲気も違う2曲を選択致しました。

それは、ラヴェル:水の戯れ、ピアソラ:アディオス・ノニーノ”タンゴ風ラプソディ”を演奏致しましたが、全曲の中で、ラヴェルの水の戯れが最高でした、と回答なさられる方がとても多かったです。

日本のクラシックといえば、古典派とロマン派が主流ですから、モーツアルトが大好きなのでソナタをお願いします、ショパンの曲を絶対に入れて下さい、と感想を述べられる方が以前は多かったのですが、「水の戯れ」の音色が本当に美しく輝いて、心地よく聴かせてもらいました。最高に気持ちがよかったです。」とのご意見を下さいました。

クラシック音楽においては、ドイツ音楽が主流で、フランス音楽は、日本では支持率が少なかったのですが、最近は、フランスの音色をとても素敵な音色の響きだ、と表現して下さる方が多く、とても嬉しかったです。

フランス音楽を綺麗で美しい、と思って聴いて下さる耳を持つ日本人が増えたという証拠なのでしょう。

とても有難いです。

 

中には、ピアソラのアディオス・ノニーノ曲は生まれて初めて聴きましたが、とても楽しんで聴くことが出来たので、是非CDを作って下さい、という方もいらっしゃいました。

「珍しい音楽だけれど、クラシックとジャズの融合が素晴らしく、コントラストやメリハリがあって、最後までのめり込んでしまいました。」と曲について記載して下さるファンもいらっしゃいました。

 

ピアノよりもチェロの音色が好きだ、とおっしゃる方は、グリーグのソナタの二人のかけ合い、パンチのある音楽、曲の躍動感、どれをとっても大好きです、と書いたあとに、チェロを弾く姿をこんなに間近で観たことがなかったので、弓の運びと左手の動きが素晴らしく、圧倒されてしまいました、と感想を述べて下さいました。

ポッパーの技巧的な演奏会用ポロネーズを聴いてしびれました、とおっしゃる方もいらして、本当に色々な聴き方をされるというか、好きな音楽が一つでもあればその日は幸せなはずなんですから、色の違う音楽をコンサートでするのもよいのかな、と感じました。

それでもお一人、「色々な形態の音楽があり過ぎて聴きにくかったので、時代を合わせて欲しいです。」と要望された方もいらっしゃいました。

そうかと思うと、「今年は最高のプログラムで、楽しい素敵な曲に包まれた2時間でした。」とご回答下さる方もいらっしゃいました。

 

「絶対にこの聴き方が正しい。」とか「クラシックのコンサートは、このようにプログラムを選ばなけれたならない。」と言ったような決まったものはなく、個人個人が好き勝手に、ワクワクしながら音楽を楽しんで下さったら、それが何よりも嬉しい事です。

 

ベッリーニ:優雅な銀色の月よ は、声楽曲ですから、「私は、ベッリーニ贔屓ですから、好きでよく歌っていますが、歌詞のない旋律だけで、どうしてこのように私を酔わせてくれるのでしょうか?」、と言う質問がございました。

 

これを読ませて頂きました時に、この方は、すでに歌詞をご存知の上、メロディーに耳を傾けて下さったわけですから、余計に心に染みて聴こえてきたのだと思いますが、メロディだけでも十分人を酔わすことが出来るんだな、と実感致しました。

 

たとえば、私は、33年前に渡仏しました時には、全くフランス語は分かりませんでしたのに、自然にこの方は素敵な方だわ、本当に東洋人を嫌がらずにとても大切に思って下さる方だわ、と感じたものでした。

そして、それは今でも友情が続いている方たちで、最初の印象が的中したわけです。

 

フランス語は、皆同じように話していらっしゃいますけれど、話していらっしゃる人間の中から出てくる温かみ、優しさは、別に言葉が分からなくてもお互いに通じ合う事が出来たのです。

 

ですから、ベッリーニのイタリア語の歌詞があれば、もちろん詩の美しさも旋律だけではなく、より理解出来るのでしょうが、チェロとピアノでもお客様の心に優しく届いた、という事は、まさに、「目がものを言う」という感じなのでしょうね。

音の呼吸だけでお客様を酔わせることが出来たなら、これは魔術師だと思います。

 

今週、6月28日(金)は、長野公演ですが、そこでは、主催者の方からの要望で、日本の歌をレ・クロッシュの伴奏に合わせて、参加型のコンサートで2曲ぐらい入れて欲しい、という事で、今二人は練習中ですが、お客様は、レ・クロッシュを身近に感じて下さる瞬間だと思います。

 

「夏の思い出」を最初に演奏するそうですが、尾瀬の高地では、丁度今水芭蕉が咲いている頃ですから、想像しながら歌われるのではないかと思います。

以前、私が声楽の生徒さんにこの曲を宿題に出しましたら、翌週、「先生質問があります。」と言うので、何かと思いましたら、「水芭蕉は春に咲く花なのに、何故『夏の思い出』なのですか?」と質問されました。

 

この曲が最初に「ラジオ歌謡」で流されたのは、丁度1949年6月ですから、70年前になるそうです。

詩を作られた、江間章子さんは、「尾瀬の水芭蕉が最も見事な5、6月を私は夏と呼ぶ、それは歳時記の影響だと思います。」とおっしゃっているそうです。

歳時記には、俳句の季語が掲載されていて、水芭蕉は夏の季語だからですが、生徒が不思議に思って質問してくれたので、私も何となく季語の関係では?…と思いつつ、その時に勝手な返事をしてもいけませんので、確認のため、調べてみました。

ちなみに、作曲者である、故中田義直先生は、初めて尾瀬にいらっしゃったのは、作曲をしてから、40年後の1990年だという事ですが、尾瀬に足を運ばずして、よく単純なメロディの中に温かみがある素敵なメロディが出来たものです。

 

では、今週は、雨が多いそうですが、くれぐれもお体を大切になさって下さい。

 


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