皆さま、不安定な天候が続いておりますが、お変わりございませんか。
今週は、軽井沢から東京に戻りまして、毎日のスケジュールをこなすのに、アプアプ致しております。
ところで、前回のブログに、ホテルでのロビーコンサートの事を書かせてもらいましたが、あれから色々考えました。
結局一番何がいけないのか、という根本を考えますと、芸術家を育てて行こうとする、国の姿勢がなっていないからに他なりません。
アーティストのレベルの事でも、音楽大学や音楽大学院を卒業なさられて、コンサート企画をして下さる方やスポンサーがいて下さったならば、生活が安定している中で、ゆっくり時間を掛けて練習が出来るのですが、今の世の中、アーティストの仕事だけで生活できる人は、ほとんどいませんから、結局生活のために、たくさんの生徒さんのレッスンをしながら、その合間に自分の練習をして、本番を迎えているわけです。
音色はどんどん荒れて行き、音楽の流れが止まってしまいます。
現在、そのような環境の方たちも、音楽大学時代の生活は、充実したレッスン、向上心を持って頑張っていらしたのに、そのあとの受け皿がなさ過ぎて、結局自然に人前では弾けないようなレベルに落ちてしまうのです。
今の世の中、スポンサーは、以前のようには行きません。
我が子たちも、コンサート活動の為の帰国時に、チェロの運賃は大人料金を支払っておりますが、10年程前までは、ANAパリ支店がスポンサーになって下さり、チェロは、子供料金で日仏の移動をさせて頂いておりました。
ところが、オリンピックなどのように、団体に対してのスポンサーのみに変更になり、個人のコンサート活動のための行き来に対しては、全く援助がなくなってしまいました。
とにかく、芸術家を育てようとする気持ちが薄いことは、とても悲しい事です。
レ・クロッシュのファンの元心臓外科医のT先生は、「私たちは、心臓の病気を治すために必要だけれど、レ・クロッシュは、精神科の先生の役目をしていますね。心の病をあなたたちの音楽の力で治していますから、これは素晴らしい事です。」とおっしゃって下さいました。
音楽には、心の病を癒して落ち着かせる力があると思います。
特に今の世の中に必要な分野だと感じます。
しかし、それが、練習時間が少なくなるにつれ、ただ生活に追われていますと、音楽的に魅力ある演奏にはなりません。
心で音楽を奏でようと思うアーティストでなければ、精神科医にはなれないと思います。
胸が熱くなったり、演奏の中に引き込まれていくような演奏を心がけなければなりません。
そのために、ゆとりある生活、聴衆からの温かい気持ちや拍手が、アーティストの演奏技術と感性を高めていくのですが、環境が悪いと、中々よい成果は得られません。
これは、とても残念です。
そして、よい演奏を聴かせられない人たちが演奏をしないのなら、これは罪になりませんが、コンサートのイメージを悪くしたり、楽しいと感じないために、「コンサートって面白くないから、もう金輪際聴きたくない。」と思われる方たちが増えて行くわけです。
どうしたら、クラシック業界が充実していくのかを考えても、中々今の状況ですと、難しい事だと思います。
ところで、今日は、北海道のレ・クロッシュ ファンクラブ会員のKさんご夫妻より、とても立派な「富良野メロン」を4つ送って来て下さいました。
ふと、メロンの香りを嗅ぐと、1980年~1982年の札幌時代にタイムスリップするのですから不思議です。
長い年月フランスに滞在しているにも関わらず、いつまでも私たちの事を大切に思って下さる方たちに、心から感謝致します。
さて、明日からは、また友人たちや親族と楽しむ会が7月21日まで続きます。
皆さんから、たくさんパワーをもらって来たいと思います。
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