アーティストはワイン!

いいお天気が続いています。
真っ青な空に眩しい太陽、とても気持ちがいいです!

「ヨーロッパ アーティスト」では、「サマ―フェスティバル in すぎなみ 2010」を企画しまして、多くの方たちに出演して頂けるのをとても楽しみにしています。

本番を迎える事は緊張はしますが、やはり音楽家にとっては一回一回が貴重な体験ですし、楽しいひと時であって欲しいと願っています。

先日、出演者たちに、”是非沢山のお客様にお声掛けして聴いて頂きましょう”というメールを出しました。

コンサートが食事や睡眠のように、日常的になって欲しいと願っています。
そのために、質のよい楽しいコンサートを目指さないといけませんが、劇団の場合は、沢山の出演者たちが役になりきって、演技をしていきます。
オペラも同じで舞台稽古に結構時間を費やしてします。
昨日のシューマンの空想力の続きのような話ですが・・・

考えてみますと、楽器の人たちって舞台に立った自分を意識して、お客さんの気持ちを考えて本番を迎える人って、とても少ないと思います。
きちんと弾く、という事だけに神経がいきすぎるのかもしれませんね・・・

漫才ではありませんから、コンサートで笑わせる事を目標にするわけではありませんが、クラシックコンサートの枠の中で演奏者本人から出る魅力やオーラ、そしてそこから引き出す素晴らしい演奏効果で、「また絶対にこの人の演奏を聴きに行きたい!」って思わせる事が一番大切なのだと思います。

オペラ歌手たちは、声楽の勉強の他に、歩き方から役の立ち振る舞いや社交ダンスなど舞台人の基本を学んでから舞台に立つように、楽器の演奏者もそういう点で今の時代にあった、心弾んで生き生きと弾けるような魅力を作っていかなかなければならないように思います。

「舞台が怖いから客席を見ないでずっとピアノに向かって歩き、ピアノを弾き終えたら客席を見ないようにしておじぎをしてさっと帰ってきたのよ。」と舞台裏に戻ってから話していたピアニストがいましたが、演奏者本人がお客様と距離を作っているんでは、お客様が好意的に寄ってきてくれるはずもありません。
演奏には集中していても、それでは演奏家とお客さんの間の空気が冷たくて、ホールに温かい空気が流れないと思います。

「ヨーロッパ アーティスト」出演者の方たちは、ご縁あって、主催コンサートにご出演して下さるわけですから、お客さんに喜んでもらう工夫と研究を是非して頂きたいと思います。
まずコンサートの演奏時間をお客さんと共有する時間と考える事、それは距離を作らず、いつも自分の子供に子守唄を歌って寝かせようと思う気持ちと同じように、お客様にいい気持ちになって頂くための演奏者にならなければ、”和やかな雰囲気の素敵なコンサート”にはならないと思います。
アーティストは”ワイン”にならないとダメなんです!お客様を酔わせるために呼び集めているんですから・・・
質を落とすと言う事ではなく、もちろん演奏の質は高いに越した事ないですが、肩肘張って聴く習慣そのものが不自然だと思います。

大学時代は、クラシックコンサートを聴く時に、無意識のうちに、当時東京文化会館によく出かけていましたが、ホールのロビーに入ると何か咳払いするほどではないにしても、呼吸を整えて自分なりに「クラシックを聴くマナーで入りましょう!」みたいなところがありました。
それがヨーロッパの伝統芸術なのかと勝手に思っていました。

ところがザルツブルグ音楽祭に行っても、服装とマナーはできていても、体はリタックスして和やかな雰囲気で楽しんでいるんですよね〜
休憩時間のくつろぎ方が優雅でワインを飲みながら、みないい顔している〜ワインの酔いというよりも音楽祭の空気にうっとり酔ってしまいました。

なんだ〜こんなにリラックスして普通に楽しめばいいんじゃない、と思って、今度渡仏したら、もっと気楽に自分の楽しみたい聴き方で、自由に楽しんでいました。

ヨーロッパの夏期講習会に行くと毎晩教授たちのコンサート三昧なのですが、舞台で椅子を出し入れする人が何度か顔出すと、拍手で迎えてあげて、それを笑う人ありで、何かとても気楽なんです。
日本のコンサートでは蝶ネクタイに燕尾服で演奏する教授も、ここだとジプシー音楽だという事で、4人のアンサンブル奏者が全員服装も合わせてしまって、本人たちが本当に楽しんでやっているのが分かるし、それを聴いている人たちは、聴く楽しみと観る楽しみと両方で楽しませてもらえるし、”楽しい素敵な時間!”という印象だけなんです。
そういう演技が本当にヨーロッパ人って雰囲気を出すのが上手なんです。
ジプシーならジプシーの人になれるし、南米音楽ならメキシコ人になってしまうし、クラシック演奏家が何故あんなに上手に演技できるの?って不思議に思いました。
その辺がやっぱり演劇部出身の私としては、大変興味を持ちました。

生き生きして演奏できるって本当に最高ですね〜

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