東京は暖かくなったそうですね。
パリも大分気温が上がりましたが、それでもこのところ雨の降る日が多いです。
一昨日、子供たちのニースでのコンサートがありましたので、皆で出かけました。
お蔭様で、コンサートは無事に終えることが出来ました。
冬のニースははじめてでしたが、雨のせいもあり、コバルトブルーしか知らなかった地中海の海が今回は、白波が立って、寒々した海に変装していました。
波打ち際には、たくさんの観光客が地中海を眺めていましたが、どことなく季節が違うと同じ海でもこんなにも海の印象や雰囲気が変わるのですね。
驚きました。
カーニバルの最終日でしたが、生憎の天気で花火の打ち上げは延期になってしまいましたので、見ることが出来なかったのは残念でしたが、素晴らしいところに足を運ぶことが出来ました。
今までは自然のコート・ダ・ジュールを満喫することばかりに時間を使っていましたが、今回は3月でしたし、雨でしたので、念願の「マルク・シャガール 国立美術館」に行きました。
個性的な画家で、ユダヤ人であることぐらいしか、理解していなかったのですが、じっくり鑑賞しながら絵画を観賞したり、1時間近いシャガールのドキュメンタリー映画を観ると、急にシャガールが身近な人になっていきました。
シャガールは、歌と踊りで表現する大衆ユダヤ教のひとつ、ハシディズムに属する心身深い家庭で育ったそうです。
シャガールは、1887年7月7日生まれで1985年3月28日死去しました。
私が渡仏した一年前に亡くなっています。フランス国籍を取得したのは、1937年ですから、50歳になりますが、生まれは、ベラルーシーということです。
確か、ポーランドとロシアに挟まれた国でしたね。チェルノブイリ原発の国です。
ロシア人の絵画の先生に、シャガールは才能がある、と言われていましたが、他の生徒と大きく違うのは、いくら先生が色々教えても、全く先生の模倣にはならず、いつも自分の創造性ある絵を描いていたからだ、と美術館内のドキュメンタリーで語っていましたが、これがまさしく”才能”なのでしょうね。
シャガール自身、”私は作曲家と同じです。”と話しているように、自分の空想や創造で出来上がった絵画ゆえに、これだけ愛されているのだと思います。
私には理解できない領域もたくさんありますが、それでも彼の心や表情、対話の仕方など見ていると、素晴らしい芸術家であることは容易に理解出来ます。
私は、パリオペラ座の天井画を観ていると、毎回引き込まれそうになりますが、天才画家だからこれだけの作品を残せたのね、と思っていましたが、実はそれほど彼にとっても容易ではなかったようです。
すべての作曲家の事を知り尽くしたうえで一人ずつ描いていったそうですが、中々思い通りに描くことが出来ず、毎日苦しみ泣いての作業が続いたそうです。
苦労に苦労を重ねての作品だとわかると、益々感動します。
芸術には、”完璧”という言葉はあり得ませんが、一生やっても満足しないような学問を好きになれたことは、本当に最高の幸せだと思います。
それは、一生退屈しないわけですから、何歳まで生きても、最後の最後まで自分の中の”最高”を追い求めていられるわけです。
やってもやっても尽きない学問は退屈することがないので本当に有難いことです。
シャガール好きの方は、是非ニースにお越し下さい!
ニースの自然の美しさだけではなく、シャガール作品の大多数は、ニースの美術館にありますし、シャガールが存命中に、フランス国家に贈与した作品を収蔵するために、アンドレ・マルローの積極的な後押しで建てられた素晴らしい美術館です。
雨のお蔭で、カーニバル観賞に変わって、素晴らしい時間を過ごすことが出来ました。
では、楽しい週末をお過ごし下さい。
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