日本では、佐村河内守の事件につきましては、驚きを隠せないでいることでしょう。
私も同じです。
私は、丁度日本に帰国の折の昨年3月に、NHKスペシャル 魂の旋律〜音を失った作曲家〜と題した、ドキュメンタリー番組を観ました。
その時に、佐村河内守が登場し、障害者や東日本の震災者との交流の場面、薬の副作用で立つことが出来ず、床を這っていたシーンなどは、強烈で今でも鮮明に覚えています。
あの番組がブームの火付け役になったと思います。
パリにいましても、ゴーストライターの事がヤフーのページで知り、びっくりしてしまいました。
しかし、その時点では、大変悪い事だけれど、どこか気の毒に思ったものでした。
パリでも、才能ある将来有望だと言われていたアーティストたちが20代後半から30代になったところで、現実の壁にぶつかり、自信喪失に陥って、精神科に通われている人もいる状況ですから、佐村河内も苦しんだ挙句に、悪いことと知りつつ、新垣隆にすがったのでは・・・と。
ところが、そのあと、新垣隆の証言でもっと驚いたのは、障害者手帳2級をもっていながら、実は聞こえているという事実・・・?
不思議なのは、この障害者手帳というものは、何も聞こえませんと主張すればもらえるものなのでしょうか?
聴覚が失われているかどうかは、脳波を調べれば、聞こえれば波長が動きますし、聞こえなければ反応しないわけですから、障害者手帳をもらう前に検査がないという事なのでしょうか?
それを確認せずに出す方も出す方だと思います。
普通はあり得ない事のように思えるのですが・・・
親族である、佐村河内の妻の母親が、「15年前に知人から、『佐村河内は耳が聞こえない。』と聞いた時に、また嘘をついて、他人をだまそうとしている、と直感した。」と身内の方がそう表現しているのですから、「火のない所に煙は立たぬ」で、奥さんのご実家では、察していたという事のようですね。
同情云々ではなく、先天性なのか環境により、他人を騙したり欺いたりすることをずっと平気でされていた人なのだと思います。
1999年のゲームソフト「鬼武者」の音楽完成後に、聴覚障害をはじめ、耳鳴り発作などを公表したそうですが、NHKスペシャルの放映の時にも、頭鳴症については、常にボイラー室に閉じ込められているかのようで、鳴り止まない、と・・・
長らく聴覚障害を隠していた理由については、「耳の不自由な作曲家の作品には、同情票がつくから、それだけはどうしても避けたかった。」という事のようですが、それが事実は、聞こえていながら、聞こえていないふりをしていたという事であれば、全くその説明は成り立ちませんね。
これからが大変だと思います。
コンサートキャンセル料やCDを扱っている、日本コロンビアは、賠償金だの、問題解決のために時間を要することになりますね。
億単位のお金をどのように解決していくのでしょうか・・・
新垣隆という方が作曲したことは確かなのですから、今後注目されることになるのでは、ないでしょうか。
確かに多くの人の心をつかみ、感動させて、魅了させてくれたのは確かな事実です。
ソチオリンピックで高橋大輔がすごい曲だと思って選んだ、「ヴァイオリンのためにソナチネ」は、別に作曲家が誰という事よりも、自分がピンときた曲なのですから、試合に向けて頑張って欲しいですね。
私は、音楽を鑑賞していても、かなり無名の人で心動かされることが多い今日この頃です。
本人のインスピレーションで選ぶことの方が大事で、ゴーストライターの事が発覚したとはいえ、別に気にする必要もないと思います。
新垣氏は、“共犯者”と発言していますが、確かに18年前にさかのぼって考えれば、共犯者と言えない事もないとは思います。
そして、佐村河内氏の強硬な作曲依頼があって、18年の間に頭角を現して、国民を魅了させるだけの作品に成長させてくれたのは確かです。
もし、佐村河内という人間に巡り合っていなかったら、色々な世間の矛盾や自分自身の葛藤の度合いが今とは違っていたわけで、今と違えば、作曲するイメージも違ったものしかできないわけです。
人間は、苦しみぬいて一皮も二皮も剥けた人のほうが、最終的には光り輝くと思います。
恐らく、ゴーストライターの実態を知らないだけで、こうやったアルバイト時に依頼を受けて仕事をしている人は探せば結構いるのかもしえませんね。
そういえば、以前CD制作の折に、エンジニアが「かなり有名なヴァイオリニストからレコーディングやっている時間ないから、『適当に色々なヴァイオリニストの演奏をつなぎ合わせて作っておいてよ。』って頼まれちゃっているんだけれど、参っちゃうよ。」
という発言を聞いてビックリしたことがあります。
それもこのヴァイオリニストだけではなくて、こういう実態がある、という事を聞かされて本当に驚いた経験があります。
人を騙したり欺いたりしても、その時は見破られなかった、と思って喜んでいるのかも知れませんが、とてもご本人が後になるとむなしくなるのではないかと思います。
これが平気でできるような人間は、技術はたとえ優れていて有名なアーティストになっていたとしても、音楽を奏でるという心は嘘をつけませんから、すべて演奏に出てきてしまう筈です。
言えることは、一生は一度しかありません。
新垣氏は、意を決して、公表したのですから、これを境に、何とか本当の自分に自信をもって羽ばたいて欲しいと思います。
自分の天性を信じ、今まで培わせたものがすべてマイナスになるなんてことはありません。
経験を積むことは、必ずプラスに結びついているのですから、無理せず頑張ってほしいですね。
佐村河内氏は、今までの事を償って、まだまだ人生先がありますから、自殺も考えられない事もなかったわけですが、今元気に生きているわけです。
これからは、本気で他人の為に生きて欲しいと思います。
結局は、自分の利益ばかりを考えて生きているなんて本当に下らない人生です。
もちろん自分も大切ですが、他人を欺くような事は二度として欲しくないですし、余生は、本当の意味でまっすぐ生きて欲しいですね。
最後まで嘘は通らないように、世の中できていると信じています。
「音楽」という共通のところで、発覚後色々考えさせられた一週間でした。
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