音楽の第一歩

昨日はもともと持っている「才能」や民族による「天性」のような話題を致しましたが、「才能」がなくても「本当に好きでたまらない!」という気持ちにさせたなら、その子は進歩してあるところまでは到達すると確信しています。

私は、「教育」に大変関心を持っています。
偶然音楽に携わったので音楽教育に焦点を当てていますが、子供のころから大変「教える」という事が好きでした。
5歳下の弟を遊んであげる、と言っても年が離れていますから、する事というと、ボール遊び、ピアノごっこ、お歌、学校ごっこなどですが、必ず私が教師役で弟が生徒役になりました。
弟はピアノの先生について習いませんでしたが、当時私の使った教材を次々「ピアノごっこ」の時に進んで、ピアノの基本だけは遊びの中で理解しました。私の伴奏で童謡を歌ったので、自然に音程もでき正しく綺麗に歌えるようになりました。
そのお陰で、高校時代ロックグループで活動するようになっても、それが生かされました。
当時シンセサイザーを弾きたいために、指練習の教材まで独学でやっていました。
クラシックだけが音楽ではないですし、こうやってこの時期に幸せになれたのは、ある程度の音楽の基礎を身に付けていたからだと思います。

音楽は、まず「好き!」と心の底から思う事、これが一番進歩に繋がると思います。

そして、楽器を教える先生は、とにかく”歌”が好きでなければ子供を引っ張っていく事は難しいと思います。

「ドレミ」をまずピアノに座らせて弾かすところから入るとどうなると思いますか?
まず弾くという動作、指を動かす事に集中するので、どうしてもキ―を押すという作業だけに終わってしまいます。
ところが、何度も綺麗な声で先生が「ドレミ」を歌って、それを口移しさせて、「ドレミ」がこんな素敵なメロディーなんだ!と理解してからピアノに向かわせますと心ある「ドレミ」になり、ただの音の羅列ではなく、そこにはその子なりの魂が入り込んだ「ドレミ」になります。
音楽には美しい流れがある、という事をピアノを弾く前に理解していますから、弾いていて気持ちがいいに決まっています。
最初からフレージングが意識しないうちに身に付きます。
どんな時もまず自分の音楽を頭で想像してから奏でていく、というところからスタートすると音楽は一生の宝物になります。

指を丸くして機械的で無味乾燥でしかない音楽よりも、指はまだふにゃふにゃで指ができていなくても、音に魂の入ったメロディーとして生きた音を出す事の方が重要なのです。
そのためにそれを意識さすための”耳”の訓練が必要です。
ヨーロッパで、「先生の仕事は、自分の耳で音楽を聴く事を理解さす事だけなんだよ。」とおっしゃる教授もいらっしゃいます。

私は大学時代に、当時は3歳からのレッスンというのは音楽教室ではなかったせいでしょか?3歳のお子さんの個人レッスンを2人お願いされました。
まだ20歳の頃ですから、もちろん暗中模索でのレッスンです。
ピアノのレッスンをお願いされたのですが、”歌”と”リズム”が中心のレッスンで、ピアノは少しずつ楽しく導入していきました。
その子たちは、2人ともK音大に入学し、1人はピアノ科でもう1人は声楽科と音楽の道に進みました。

子供のレッスンで怒った事はありません。いつも「楽しい」と思わせるレッスンの中で、色濃い充実したメソードで進めていけば、どんどん上達するものなのだと思います。
魔法のように、「音楽の夢の世界」に誘い込んでしまえばしめたものです。
やりたい!と思う気持ちにさせる事がまず最初に大事だと思いますが、”音楽”はただの遊びではありませんので、集中力が短い低年齢の場合は、短時間の中に沢山の事を学ばせなければなりません。
それは、先生のやり方一つなのだと思いますし、まずはそのための環境づくりが大切だと思います。

「音楽と関わって生きてきてよかった!」と思えるように、日々努力していきたいです。

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