音楽家になる資質とは?

昨日お話しましたように、音楽を奏でる環境ができているかどうかという事はとても重要な事だと思います。
もちろん環境だけ整っていても、音楽家になる資質が備わっていなければなりません。

ショパンの幼時期や子供時代はどのような子だったかといいますと・・・

ショパンは、青白くて病弱というイメージがありますが、子供時代は、ジェスチャーが上手で、ユーモアたっぷりで大人たちを笑わせる本当に楽しい子だったようです。
それで、ジーウ二ー先生もショパンの打てば響くような子をこよなく愛していたのですね。
親としては静かでおとなしい子の方が疲れませんが、発想力があって色々面白い発言をしたり、時には怒られるような事をしても、そういう子はとても存在感がありますし、個性的な子なんです。

ショパンは、ピアノを使って人まねをしたり、その時の気分をピアノで表現する才能がとてもあったと言いますし、似顔絵を描くのが得意だったそうです。
ショパンの書いた絵は、今でも残っています。
という事は、ぱっとその人の特徴を捉えて、それをピアノで表現したり、漫画で書くわけですから、瞬時にその人の特徴を捉えて音にしたり、漫画に書いたりする事ができる感性が豊かな直観の優れた子だったんですね。

まさに「子犬のワルツ」だって、ジョルジュ・サンドの飼っていた子犬が自分のしっぽをおいかけてクルクル回っているさまが面白くて、パッとあのかわいいメロディーが頭をよぎったんでしょう。
作曲だけでなく、機械の設計、洋服のデザイン、ヘアーデザイン、お料理なども、みな創造力が豊かだからできる事なんです。

子供によってピアノを習っていても、得意不得意のものが違います。
ピアノに向かって宿題の曲を練習しようとしても、頭の中に音楽が溢れてしまうので、それを弾く事に追われてほとんど宿題をしてこない子もいます。
これはその子の才能で、宿題をしてこないからといって叱らないで、たまにはその子の即興演奏を楽しんで聞いてあげるぐらい寛容であった方がいいと思います。
逆にそうやって次から次へと音楽が溢れてきて、それを弾くだけで忙しいという子は、”音楽を楽しむ”という段階はすでにクリアーしている事になります。
折角持って生まれた才能ですから、いかに上手にその才能を開花してあげるか、という事がとても大切だと思います。

それはその子が自然に要求するものですから、それを上手に向上するように仕向けてあげなければなりません。
才能を摘み取る事のないように、芸術はとてもデリケートなものですから、レッスンを楽しく、そして生き生きやってあげることが大切ですね。
先生にとっては、優等生的な生徒で、きちんと言われた事を守って練習して、注意すればすぐ直るおりこうさんはとても教えやすいですが、これが将来的に最高かというとそうではなく、ショパンの幼時期のように、自分で発想したり、洞察力や観察力が抜群で、人間のしぐさや行動に対して非常に興味を持ち、細かく頭の中で考え表現しようとする意欲がある子は、あるとき音楽が本当に好きになった時には必ず開花すると思います。
音楽は、”音”の羅列の正確さを求めているのではなく、”音”から生まれてくるダイヤや真珠のような輝きを持った美しさを求めているのではないでしょうか。正確には、“音”と“音”の間の無音の何もない隙間が、どれだけ余韻の響きで聞き手を感動させる事ができるかという事のような気がします。
音ばかり気にして、音と音の隙間の無音の効果がどれだけ大切なものかを気付かないで勉強している方も多いと思いますが、耳をすまして自分の音を聴いてみると、発見できますよ。
多くの人に感動を与えられる音楽家が本当に音楽家になるべき人なんだろう、と思います。

世界中の1人でも多くの人が、本物の音楽に出会って感激する瞬間を味わって欲しいものですね。
折角生まれてきたのですから・・・

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